Messsage

創造の交差点から、新たな価値を拓く。

株式会社カイリンアートは2024年8月1日にAirArtCommunityのサービスを開始いたしました。アーティスト、アートファン、イベントオルガナイザーが出会う、交差点を目指しています。多用な主体が交わることで、予期せぬ化学反応を促し、最良のマッチングを通じて、新たな価値創造に貢献してまいります。

私自身、ベルリン芸術大学、アムステルダム音楽院留学、紀尾井ホールオープン、紀尾井シンフォニエッタ東京設立、白寿ホールオープンといった経験を通じ、卓越した音楽、そしてその感動を共有するお客様の笑顔に数多く触れ、芸術が持つ根源的な力を実感してまいりました。東日本大震災発生時、困難な状況下にも関わらず支援に駆けつけてくださった音楽家の皆様、また、白寿ホールの理念の一つである「好奇心を刺激する場」の具現化として実施した「暗闇（Music in the Dark）」での公演や、ジャンルを超越した表現の可能性を探求する「アート×アート×アート」シリーズにおいて、果敢に挑戦してくださった多くのアーティストの皆様、そしてその活動を支えてくださったすべての方々との出会いに、改めて深く感謝申し上げます。

現代社会は、大きな変革期を迎えており、その潮流に順応していくことが求められています。このような状況下において、芸術の存在意義が改めて問われています。あらゆる分野において、「なぜそれを行うのか」という本質的な問いが突きつけられる今、私たちは改めて思索すべきです。人間はなぜ芸術を必要とするのか、芸術はなぜ創造されるのか、その根源的な意味とは何か。

芸術の重要な使命の一つは、享受者に対し、新たな世界の発見と、より広範な視野を提供することではないでしょうか。Air Art Communityという名称には、アートのコミュニティを通じて、多角的な化学反応を誘発し、より遠くまで、未来へ向かって飛躍していきたいという願いを込めました。

哲学者、西田幾多郎は「善の研究」において、認識の根源を「純粋経験」に求め、「純粋経験というのは、自己の意識と対象との区別以前の直接経験、思慮分別を加えない、真に経験其儘の状態をいうのである」と述べています。主体的な認識が介在する限り、自身の思想、思慮分別、判断が混入し、純粋な経験に至ることは困難です。「美しい」「上手い」といった評価さえも超越した状態で、私たちは芸術と向き合うことができるでしょうか。

AACという交差点において、論理的な思考と創造的な芸術が出会い、相互に影響を与え合うことで、新たな価値が生まれることを願っています。その根源的なアートの力を通して、次世代への変革の一助となることができれば、これ以上の喜びはありません。

2025年4月

株式会社カイリンアート　代表 内倉眞紀子

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