魂を揺さぶる感動のショパン&リスト!運命に翻弄された奇跡のピアニスト
1985年第11回ショパン・コンクール(スタニスラフ・ブーニン優勝時)、第三次予選まで勝ち進みながらもファイナリストに選ばれず、これに抗議した審査員が次々に退場した。聴衆からも抗議行動が起こり、そのことがゲキチの名を一気に世に知らしめる事になる。その後、驚くべき事に、聴衆の強い要望によりショパン・コンクールと同じ会場で同じオーケストラと共に幻の最終予選が再現された。ショパンのピアノ協奏曲第2番を演奏後、アンコールにピアノ・ソナタ第3番を全て演奏し、あまりの衝撃的なピアノで聴衆を驚嘆させたのは、今や伝説となっている。
1985年ショパン国際コンクールにて一大センセーションを巻き起こす。審査員の評価が分かれ本選に残れなかったものの、聴衆と批評家の心をつかみ、海外から多くの招待を受けるようになる。コンクールでのゲキチの録音はその年だけでドイツで6万枚の売上を記録し、ビクターエンターテイメントよりリリースされた同CDは日本で8万枚を売り上げた。1990年代に入るとゲキチは突然演奏活動から身を引き、より高いレヴェルへの到達をめざし集中的に練習へと打ち込む時期を迎える。この充電期間の成果の一つがリストの超絶技巧練習曲全曲の録音に表れており、このCDはゲキチの録音の中でも特に評価が高い。 ゲキチの演奏会では、たしかに聴衆はその超絶技巧に感嘆し、引きつけられ、圧倒し、楽しみ、釘付けにさせられる。しかし最終的には、作品が持つ精神的世界を伝えたいというゲキチの意図のもと、聴衆は忘れえない感動と衝撃を体験するのである。